鳥取県日野郡日野町【都合山たたら跡】県指定の史跡にバイオトイレを設置。僻地だからこそバイオトイレが活躍することを再認識
2022年12月、㈱ミカサが納品へ向かったのは鳥取県・日野郡日野町。
手つかずの豊かな自然が残るこの地域にある、鳥取県指定史跡「都合山(つごうやま)たたら跡」へ【バイオミカレット®】を設置させていただきました。
目次
「都合山たたら跡」とは
大正時代ごろまで、全国屈指の鉄の産地であった鳥取県の奥日野地域。砂鉄を原料に、山の雑木から木炭を燃料にして鉄をつくる【たたら】という製鉄法で鉄をつくってきた場所のひとつが、「都合山たたら跡」です。
明治30年代には最も鉄の生産がさかんに行われ、当時は近代化を支えてきた産業のひとつだったそうです。
「都合山たたら跡」は町内に点在するたたら場の史跡のなかでも、保存状態がよいことや学術的にも貴重な史跡であることから、鳥取県指定史跡に指定されています。
山深い場所だからこそバイオトイレが必要だった。ミカサのバイオトイレを選んだ理由
バイオトイレ導入についての経緯や今後の想いなど、今回ご担当いただきました日野町 産業振興課 入澤さんにお話をお伺いしました。
今回、バイオトイレを導入しようと考えたきっかけについて教えてください。
県指定史跡となった貴重なこの場所を保護するという点と、今後いろんな方にたたら跡に来ていただいて歴史や文化を知ってもらえるよう、現在環境整備を含めた取り組みを行っています。
「都合山たたら跡」は人里離れた山の中にあり、電気や水道もない場所であるという点がネックでして、以前からトイレがないという課題を抱えていました。
実際、トレッキングやハイキングなどで訪れる方からも「トイレを設置してほしい」というご意見もいただいていたのですが、なかなか整備できない状態でいました。
そこで、改善策としていろいろと調べていくなかでバイオトイレの存在を知り、「これは導入できるのではないか?」と思ったのが最初のきっかけです。
弊社のバイオトイレ【バイオミカレット®】を知ったきっかけ、さらに選んでくださった決め手はどんな点でしたか?
バイオトイレについて検索していた際に、ミカサさんのことも知りました。
他社のホームページもいろいろと見ていて「バイオトイレにもいろいろな方式があるんだな」ということを知るなかで、ミカサさんにお願いしようと思った決め手は
①下水道環境や電源がなくても設置が可能だった
まず大前提の条件として、水や電源のない場所にトイレを探していましたので、ミカサさんの【バイオミカレット®】は水や電源不要という点が一番の決め手になりました。
さらに太陽光発電が可能なタイプもあるという点も、大きなポイントでした。
②周囲の自然と調和したトイレのデザインがよかった
県指定文化史跡ということで、新たにトイレを設置する際にはいろんな規制があるのですが、その中のひとつに『外見が周囲の環境を損なわないというもの』という点がありました。
他社さんの製品もホームページでいろいろと見たのですが、工事現場などで見かけるようなプラスチック製で、色もオレンジや緑など自然とは調和しないものが多いなか、ミカサさんの製品は木材を使っていて、自然の景観にマッチするのがいいなと思いました。
③メンテンナンスも負担が大きくなさそうだった
「都合山たたら跡」は山あいの僻地(へきち)にあるため、トイレ設置後に管理する私たちにとって、あまり手がかからないものを選びたいと考えていました。
【バイオミカレット®】は通常の清掃に加えて、処理槽の杉チップの確認でいいという点や、杉チップの交換も2~3年に1度でいいという点にも魅力を感じました。
④同じ鳥取県内に納品実績があった
鳥取市にある国指定重要文化財の旧美歎水源地水道施設や、智頭町の国登録有形文化財の旧山形小学校が、ミカサさんのバイオトイレを設置しているという点も決め手のひとつでした。
実際に鳥取市の担当者の方にもコンタクトをとって、バイオトイレ導入後の状況などの話を聞きました。その際に、メンテナンスをきちんとやっていれば臭いもないし快適であるということを聞き、私どもとしてもトイレ選びの参考になりましたし、お願いしたいと思う大きな動機づけにもなりました。
⑤貴重な史跡ゆえの設置に関する課題にも柔軟に対応してくれた
県指定の史跡であるため、現場の地面には杭が打てないという課題がありました。
これをミカサさんにご相談したところ、代替案としてコンクリート板を用いて設置してくださったのも決め手の一つですし、実際にお願いしてよかったと感じた点です。
バイオミカレット®の導入時に不安な点などありましたか?
なかったです。具体的に導入を依頼した後、一度こちらまで下見に来ていただいて、設置に関することもしっかりと打合せさせていただいたので、安心しておまかせできました。
その他、バイオトイレを設置しての感想などあればお聞かせください。
「都合山たたら跡」を含めた周辺は、今年度から4〜5年くらいかけ周遊コースを設けたり、渓流や川遊びができるようにしたりと環境の整備をすすめています。
将来的には、古くからの歴史を伝える場所としてだけでなく、気軽に自然を満喫できるスポットにしていきたいと考えています。
今後、実際にどのくらいの方がトイレを利用されるかなどは状況を見ていきたいと思いますが、バイオトイレを設置して環境を整えられたことは、私どもとしても大きな前進だと思っています。
山間部にあるがゆえの無理難題にも、柔軟に対応していただき本当に感謝しています。
僻地(へきち)だからこそ、バイオトイレが活躍することを再認識
まず今回の導入にあたって、ご依頼いただいた当初から車の乗り入れができない場所であることは、入澤さんよりお伺いしていました。
正直、最初にお話しいただいたときは、現場の環境としては少々ハードルが高いなと思いました。
しかし「普通であれば設置がむずかしいと思われる場所にこそ、弊社のバイオトイレが求められている」と、入澤さんとやりとりさせていただくなかで強く感じ、「これは弊社でやるべきだ!」と、挑戦させていただく気持ちで進めさせていただきました。
バイオトイレを分解して搬入。処理槽の材質にも配慮。
さらに今回は、まず設置場所までトイレを車で運べない環境でしたので、人力でトイレを運ぶことになりました。
そのためバイオトイレを組み立てて完成された状態ではなく、各パーツに分解した状態で人力で運び、設置場所にて組み立てるという、弊社でも初の試みでした。
また人力での搬入のため、処理槽は通常の「ステンレス」ではなく、より軽量な「FRP(繊維強化プラスチック)」を素材として使用したタイプを新たに開発しました。
加えて、今回無事に期限内に設置できたのは、設置前に一度現場の下見を行って、事前に担当者である入澤さんと現場の課題を把握できていたことが大きかったです。
重量のあるバイオトイレをどうすれば人力でかつ安全に運べるか、道幅の確認など細やかな下見のプロセスを踏むことができたので、準備段階からのさまざまな工夫に繋がったと思います。
文化史跡の環境整備にバイオトイレが活躍。今後も多くの場所で役に立ちたい
「都合山たたら跡」のように水や電気が無く、さらに車で行けない場所には、一般のトイレと同じような快適なトイレを設置するのはむずかしいのでは?と頭を悩ませている方も多くいらっしゃるかと思います。
今回、そういった場所にこそ弊社のバイオトイレ【バイオミカレット®】のニーズがあるということを改めて実感しました。
また歴史ある場所を守るための環境整備のひとつに弊社の製品が役立てることは、私たちにとっても価値ある経験となりましたし、大きな喜びにもなりました。
今後も、多くの文化史跡で弊社の製品が役立つように取り組んでいきたいと思います。