日本工業経済新聞/2016年8月8日掲載
国土交通省は男女ともに快適に使用できる仮設トイレを「快適トイレ」と名付け、10月以降に入札手続きを行う直轄土木工事の建設現場から原則として導入するため、標準仕様を決めた(表参照)。現場導入に当たっては、標準仕様6項目と付属品5項目は必ず備える必要があるが、装備していればより快適な6項目については推奨する仕様、付属品と位置付けた。
「快適トイレ」に関する費用は1基当たり月額4万5000円。男女別で設置した場合は2基まで費用計上できる。上限を超える費用は共通仮設費のイメージアップ経費の率分の中で支出可能とし、基本的に持ち出しがないようにする。従来のモデル工事同様に費用は事後に実費精算する。
また、契約済み工事で現場のトイレを「快適トイレ」に変更する場合でも、10月以降であれば受注者で協議の上で発注者が費用を負担する。
同省では「快適トイレ」の標準仕様を満たすトイレの募集を始めており、9月中旬にも事例集を公開し、10月の導入に備える。これまでの「建設現場における仮設トイレの事例集」は廃止する。
地方自治体でも徳島県が、女性技術者が活躍する現場で「快適トイレ」を導入する取り組みを試行することから、同省では全国の自治体でも同様の取り組みが広まることを期待している。
【快適トイレの標準仕様】
1.快適トイレに求める標準仕様
①洋式便座
②水洗機能(簡易水洗、し尿処理装置を含む)
③臭い逆流防止機能(フラッパー機能)
(必要に応じ消臭剤などを活用し、臭い対策を取る)
④容易に開かない施錠機能(2重ロックなど)
(2重ロックの備えがなくても容易に開かないことを製造者が説明出来るもの)
⑤照明設備(電源がなくても良いもの)
⑥衣類掛けなどのフック付きまたは荷物置き場設備機能(耐荷重5kg以上)
2.快適トイレとして活用するために備える付属品
⑦現場に男女がいる場合、男女別の明確な表示
⑧入口の目隠し設置(男女別といれ間も含めて入口が直接見えないような配置など)
⑨サニタリーボックス(女性専用トイレに限る)
⑩鏡付き洗面台
⑪便座除菌シート等の衛生用品
3.推奨する仕様、付属品
⑫室内寸法900 x 900mm以上(半畳程度以上)
⑬擬音装置
⑭フィッティングボード
⑮フラッパー機能の多重化
⑯窓など室内温度の調整が可能な設備
⑰小物置き場など(トイレットペーパー予備置き場)