メディア掲載情報media

2016.8.25

「輸出への取り組みを契機とした中小企業の変革」に掲載されました。

  • シェアする
  • +1する
  • はてブする
  • Pocket
  • メールを送る
  • LINEに送る
  • フォローする

日本公庫総研レポート/2016年6月9日掲載

 

2016年6月、日本政策金融公庫 総合研究所様が発行したレポート「輸出への取り組みを契機とした中小企業の変革」に弊社が2015年に実施しましたODA事業(ペルー共和国)が掲載されました。詳細は添付資料をご覧ください。

 

KM_C224e-20160822144248

001

 

企業名:株式会社ミカサ

所在地:大分県大分市

資本金:10,000千円

従業員数:6名

輸出形態:間接輸出

海外売上比率:25%程度

主要製品・サービス等:自己処理型トイレの製造、販売及びレンタル

 

【事業概要】

 

当社は1989年に創業した企業で、自己処理型トイレの製造・販売・レンタルなどを主な事業としている。

 

当社で扱う自己処理型トイレは、①燃焼式と②生分解式の2種類である。①燃焼式とは、灯油を燃料にして、発生したし尿を焼却する方式のトイレである。当社で特許を保有しており処理能力も高いが、化石燃料を使用してるため最近では需要がなくなっている。

 

近年、需要が高まっているのが、微生物の分解機能を利用した②生分解式のトイレである。これは、筐体内の木材チップを媒体とし、ヒーターによる加熱や木材チップの撹拌によってし尿に含まれる微生物の活動を活性化させ、し尿を分解することができる。環境負荷が少ないことや、洗浄用の水が不要で省資源であることなどの理由から、全国で導入されるケースが増えている。過去の実績では、富士山や熊野古道といった環境への配慮が必要な国内の環境地のほか、建設現場などで利用されている。

 

【海外展開の経緯】

 

当社の生分解式トイレ、燃焼式トイレといった製品は、もともと国内市場での販売が中心である。海外に進出したのは、ODA事業の調達業務を担当する一般社団法人日本国際協力システム(JICS)が、ペルーに当社のトイレを設置することが可能がどうかを問い合わせてきたのがきっかけである。その後、プロジェクトをまとめる商社と組んで入札に参加し、最終的には商社を経由した生分解式トイレの輸出につながった。

 

ペルーにおけるODA事業では、トイレを設置する候補地は既に選定されていた。地理的な環境や想定する処理人数などを検討し、設置する場所を決定した。2~3か所は設置を見送ったが、大半の場所は設置することが可能だと判断した。

 

納品したトイレは、国内で販売している製品と同じもので、太陽光発電設置やバッテリーなどを組み込んだ製品である。ペルーでは最終的に6か所に16台を2015年に納品した。

 

ペルーのODA事業で設置した16か所のうち、1か所で太陽光発電設置一式が盗難の被害に遭ったが、その他の地域では問題なく稼働している。納品したトイレのメンテナンスは、2年に1回程度、生分解に使用する木材チップ(おがくず)を交換する程度で、この木材チップは現地調達が可能である。この事業では、当社の製品を商社経由で現地代理店に引き渡す形式であり、メンテナンスはこの現地代理店が行うことにしている。

 

【継続的なビジネスにつなげるという課題】

 

ペルーでの取組みに関する反省点を挙げるとしたら、次のビジネスへの展開や広がりに欠けたことではないか。ODA事業の場合、日本政府という最高のパートナーがいることから、相手国での待遇も非常に良いし、政府や自治体の要人とも面会できる。今思えば、ペルーの政府関係者と人脈を作れなかったことが惜しまれる。担当省庁や納品場所の担当者とつながりがあれば、次の事業の話も出たかもしれない。現地の代理店が当社のトイレを気に入ってくれれば、商社や代理店から新しいビジネスが広がる可能性はある。海外でビジネスを展開するには、現地の事情に精通した人脈が必要である。

 

可能ならばアジア圏を対象に輸出事業をやりたいが、現時点では機会を得られていない。当社にとっては、国の事業として海外展開に取り組めるのがベストである。日本のODA事業について海外でよく指摘されるのは、支援・提供した製品や部品を現地で調達できないということだ。一度壊れると修理することができず、そのまま放置されることも多いと聞く。企業としては、ODA後のビジネスの展開を視野に入れて取り組むことが必要だろう。

 

【現地ニーズの把握と製品への反映】

 

海外市場における需要調査は、当社単独で行ったことはないが、地域の異業種交流会で入手した情報や、当社相談役が世界各国を訪問した経験から、海外でニーズがあることは感じていた。実際に、アジアや世界で、何十億人という人口がトイレ不足に直面している。特に開発途上国やインフラが未整備な国では、政府機関でも民間でも、トイレの需要は非常に大きかったが、結果として製品の輸出にはつながっていなかった。

 

輸出に至らなかった理由は、製品の価格である。当社の製品は平均的な製品で1台280万円程度であり、太陽光発電装置などを組み込むと180万円ほど追加コストがかかる。10%や20%のコストダウンならば、性能や機能を制限することで対応できるかもしれない。だが、開発途上国では10分の1、50分の1という価格を要求される。

 

JETROにも相談したが、10分の1の値段でも現地市場で販売するのは難しいという結論だった。そうなると、10年先を見据えて現地法人を立ち上げ、全てを現地生産するくらいでないと対応できず、当社の体力では不可能である。また、海外でビジネスを行おうとすると、現地での人脈や影響力などがないと要領がつかめず、話が進まない。

 

当社トイレの先進国への輸出は、可能性はあると思う。ただし、当社単独では難しい。当社と同様の製品を扱っている企業は、国内の主要な企業だけで5社程度あるほか、海外にもある。

 

当社が手掛けた海外事業は、ある意味でBOPビジネスともいえる。だが、より多くの人により多くの製品を販売するという方向性では考えていない。薄利多売ではなく、販売した製品で一定の利益を確保するという方針は変えたくない。安価な商品を販売するよりも、その国の代表的なトイレとして認識されるような付加価値の高い製品を販売したい。

 

【輸出を契機とした変革】

 

海外事業を手掛けることで、当社にも変化が生じた。過去の当社受注実績は年間3台から5台程度で推移することが多かったが、ペルーの事業では16台を短期間で納品した。従来の約3倍の生産量になるため、臨時的に人を呼んで大量に製造する段取りを整えた。また、一社購買から複数購買に切り替え、コストや品質を比較して材料や部品を調達することが可能になった。複数社からの調達は、取引先が廃業した場合への備えにもなる。また、大量の製品を製造することで、スケールメリットが生じたことも挙げられる。

 

新聞やテレビなどのメディアで紹介されることも増えたため、社会的な認知度も上がった。社員からも「こんな仕事ができるとは思わなかった」という反応があり、社員の士気が上がるという効果もあった。

 

現在、当社と当社関連会社は、JICAが実施するODAを活用した中小企業海外展開支援事業(普及・実証事業)へ応募し、カメルーン現地でのトイレ事業展開に向けて取り組みを始めた。カメルーンでは、日本のODA事業で学校建設も進められており、当社と当社関連会社が応募している普及・実証事業でも、学校を含めた公的な場所に公共トイレを設置することを目的としている。事業が順調に進めば、首都・ヤウンデ市の大通りや、カメルーン第一大学に設置する予定である。

 

カメルーンでのODA事業は3年がかりの取組みになる。現在はカメルーンのトイレ事情などを調査してきた段階で、次回訪問する際には調査と併せて実際にトイレを20台ほど設置し、実証試験を行う予定である。

 

ちなみに同じアフリカ市場では、トイレ製品や建材・住設商品の大企業がケニアに進出しているほか、国連児童基金(UNICEF)や世界銀行もトイレの普及を進めている。ただし、大企業は高機能なトイレ、世界銀行やUNICEFは簡易トイレが中心であり、当社の製品とは別方向からのアプローチである。こうした状況をふまえて、当社ならではの付加価値を出しつつ、設置する場所も選んで取り組んでいきたいと考えている。

 

トイレ事業に関しては、販売ではなく、レンタルで製品を供給するという選択肢もある。製品を販売することでまとまった現金が入る点は非常に大きいが、安定性ではレンタルも有効である。実際にカメルーンの建設現場でも、仮設トイレが利用されているのを見ており、需要はあると考える。

 

カメルーンでの事業は、地元大分の自動車整備工場や鉄鋼会社と一緒に新会社を立ち上げて取り組んでいる。3社で協力することにした経緯は、もともと経営者同士が親しかったことや、何か海外事業に取り組みたいという点で意見が一致したことが挙げられる。具体的な自社開発商品が当社のトイレだけだったということもあり、まずは当社のトイレで海外展開を図った。

 

自社開発商品を持っている中小企業であれば、海外志向があると思う。ただ、関心はあっても実際に取り組みにはハードルが高いというのが実情だろう。当社のような小規模な企業にとっては、輸出先との距離もハードルになるし、人手も足りない。当社でペルーの事業を担当したのは、社長である私と電気制御を担当している社員の2名である。継続して海外展開するなら体制整備も必要である。

 

JICAへ応募したカメルーンにおけるバイオトイレの普及・実証事業が事業として採択されれば、いずれは現地生産することも視野に入れている。ただし、発展途上国や開発途上国では工業が発達していないため、部品を調達すると非常にコストがかかる。例えば、他社のトイレ処理槽で使用しているステンレスは他国からカメルーンに輸入するしかないため、日本国内で調達する場合の10倍ものコストがかかる。一方で、日本からの製品輸送コストを考慮すると、最終的に現地で生産するしかないと思う。現在、ステンレスではない別の資材で代替できないか検討している。

 

【輸出と国内事業、そのバランス】

 

海外事業には、機会があれば前向きにチャレンジしたいと考えている。現在手掛けているカメルーンでの事業についても、当社や協力企業であるほかの2社にとっていいビジネスになるように進めたい。ただ、国内事業とのバランスは常に冷静に見ることが必要だ。

 

ODA事業は、基本的に単発の事業として実施されるため、それを契機として自分たちの仕事を育てていくという意識が必要である。カメルーンにおける普及・実証事業でも、有効性が確認されれば将来的な需要の掘り起しにつながる可能性はある。ただし、結果が出るまで3年から4年はかかる見込みであり、継続的な需要が発生するか、ODA事業として採択されるかといった企業側でコントロールできない要件も多く存在している。

 

現在は国内の事業環境も追い風であり、海外事業にかける労力を、国内事業に注力するという選択肢もある。

 

ペルーでのODA事業に取り組むことで当社と当社製品の知名度も上がったことを考えれば、海外事業に取り組むことは決してマイナスにはなっていない。事業場のリスクを考えれば、2年から3年おきに海外事業を実施し、国内にその成果を還元するというスポットでの取り組みが良いのかもしれない。

 

 

 


 

text= 株式会社ミカサ
  • シェアする
  • LINEに送る

関連記事

097-551-8826

受付時間:月~金 9:00~17:00